人財の育成

当社グループは、持続的成長に欠かせない重要な要素の一つとして「人財」を掲げています。国籍や宗教、性別の違いなどに関わらず、各人の人権を尊重し、それぞれが個性や能力を十分に発揮することで、多様な力が結集する強い企業グループで在り続けることを目指しています。

主な取り組み

  • 採用活動
  • 表彰制度
  • キャリアアップ支援
  • 女性活躍推進
  • 男性育児休暇制度
  • 障がい者雇用
  • 時短・有給休暇制度
  • 段階別研修制度
  • 人事評価システム
  • 女性育児休業復職支援
  • 資格取得支援
  • 外国人雇用
  • 介護休業制度
  • シニア雇用
  • 従業員のメンタルヘルスケア

重要テーマ

  • お互いを認め合い、互いに成長できる職場環境づくり
  • 生産性を最大化する多様な働き方の推進
  • ウェルビーイング(Well-being)の実現

人権の尊重と多様性の創出で、いきいきと働ける環境を整備

当社グループが持続的な成長を遂げるためには、従業員一人ひとりの力が十分に発揮できる職場でなければなりません。そのためには、多様性を認め合いながら互いの成長を促すことができる風土や、誰もがいきいきと働ける職場環境を整えることが必要だと考えています。当社グループでは行動規範において人権の尊重を掲げ、不当な差別をすることなく人権を尊重する方針を社員全員に周知しています。また、社員の就業環境整備についても行動規範で掲げており、ダイバーシティへの取り組みを積極的に推進し、公平な処遇を実現するとともに、それぞれの能力・活力を発揮できるような安全で働きやすい職場環境をつくることを方針として事業活動を行っています。

多様性を重視した採用活動

企業価値を創出する基盤となる従業員は、最も重要な資本であると考えています。当社グループが持続的成長を遂げるためにも、当社グループの未来を担う人財を発掘する採用活動にも力を入れています。
デジタルネイティブ世代の人財に従来通りの採用活動を行っていたのでは当社グループの魅力が十分に伝わりません。それを踏まえ、当社グループの業務と、やりがいのある職場の魅力をより直感的に感じてもらうために、宝印刷株式会社の新卒採用サイトにおいて引き続き先輩社員のインタビュー動画を掲載しています。
また、経済情勢や関連する法律の改正、株主・投資家の皆様からのご要望等、取り巻く環境は常に変化します。当社グループは事業を通してお客様の情報化社会におけるコミュニケーションを支援していることから、変化を恐れず挑戦していく人財を必要としています。採用活動においては、志願者の価値観も大切にしながら、対話することを重視しています。
中途採用においては、社外の風を当社グループの社内組織の活性化に役立てるべく、経験豊富なシニア雇用を積極的に実施しており、高い知見やノウハウが現場において様々な形で活かされています。

心身共に健康であるために

身体はもちろん、心も健康でなければ本当の意味でいきいきと働くことはできません。当社グループでは、従業員全員の健康を促進することを自社の責務とし、社員の身体的および精神的健康について、産業医や専門家、安全衛生委員会の意見を得ながら法定面以外の施策も加えて取り組んでいます。
第三者にあたる外部機関による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を定期的に実施しているほか、印刷けんぽで実施している「こころの相談ネットワーク」を活用し、外部機関の電話健康相談サービスを自由に利用できる仕組みを従業員に周知しています。また、私傷病により労務が提供不能となった社員には在籍年数に応じた休職制度を設けるなど、働きたい人がやむを得ないアクシデントに遭遇した場合でも、その後も安心して働き続けられる環境を整えることも併せて進めています。
従業員がいきいきと働ける環境を整備するために、従業員のウェルビーイングを目的とした様々な取り組みを検討しています。

労働安全衛生の取り組み

当社グループにおいて大きな労働災害が起きる危険性が高いのは、大型の印刷機器等を扱う工場の現場です。浮間工場では定期的に適切なリスクアセスメントを行い、リスク低減措置を行うとともに、労働安全に関する社員の意識向上に取り組んでいます。
例えば大量の印刷用紙を一度で切る断裁機は、少しでも注意を怠れば大きな労働災害に繋がりかねません。この断裁機の使用については、ソフト面においては専門の講習を受けた者にのみ作業を許可しており、危険な作業部分を理解した上で常に注意深く作業にあたっています。また、ハード面においては機械の誤作動等がないよう断裁機械メーカーによる年次点検を毎年4月に行っています。
安全衛生委員会を毎月1回開催し、各課の報告資料の中でヒヤリハット事例があればそれを報告し、すぐに水平展開するなど事故防止に積極的に取り組み、人に纏わるソフト部分と機械等に纏わるハード部分の両面から安全に配慮しています。

フリーアドレスの試験的導入開始

コロナ禍の環境下において出社と在宅のハイブリッド勤務が定着していく中、固定席を設けない柔軟な働き方や、空きスペースの有効活用、コミュニケーションの活性化を目的としたオフィスの「フリーアドレス化」が注目されており、当社グループでも生産性向上を狙いとして試験的に導入を開始しました。リモートミーティングの急激な増加を受け、フロアから隔離されたWEB会議用のブースを設けたり、集中して作業したい人向けには窓向きのデスクを配置したりするなど、生産性向上を目的とした職場環境の整備を進めています。

フロアの中央にある、書類を収納するキャビネット
WEB会議用の集中ブース

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

宝印刷株式会社では社員が自ら当社グループで働くことの意義を見つめ、さらなる多様性を醸成することを目的とし2009年からダイバーシティ推進プロジェクトを推進しています。2020年度からは普段はなかなか話すことが難しい様々な部門の従業員が対話を行い、多様性を培える場、そして自己研鑽における気づきの場として「Takara Café」を開催しています。
また今年3月、社外取締役 関根近子氏による「視点を変えれば“働く”が変わる」をテーマに社内向けのウェビナーを開催しました。関根取締役からはウェルビーイングの観点から、仕事もプライベートも輝くために「ポジティブ思考」がベースになることや、自己成長するための視点についてお話いただきました。当日は希望した約200名の社員が参加し、働きがいについて自ら考える良い機会となりました。
今後も様々な価値観を持つ社員が誇りをもって働き続けられる会社にするため、活動を進めていきます。

社内報を活用したインナーコミュニケーションの強化

宝印刷株式会社では、年に4回社内報「OUR COMPANY TAKARA」を発行しています。今年の社内報では、「サステナビリティ基本方針」と「マテリアリティ(重要課題)」の従業員への浸透を目的に、策定・特定に至った背景やグループとして目指す重要テーマを、漫画を活用して掲載しました。漫画の中ではサステナビリティが求められる社会の情勢や、「マテリアリティ(重要課題)」に取り組むことで社会の要請に応えることができ、当社グループの理念の実現に繋がることを分かりやすく説明しています。従業員からは「自分ごととして捉えられる良い機会となった」と好評の声が寄せられており、自社だけではなく、取引先へのサービスとしての展開も検討を進めています。

人事担当執行役員メッセージ

宝印刷株式会社 執行役員 ディスクロージャー研究二部 黒木 啓祐
執行役員 総務部長 兼 人事部長
中込 克二

従業員一人ひとりが働きがいをもって同じ指針のもと働ける環境を
グループ全体で推進していきます

TAKARA & COMPANYの人財採用に対する考え方

当社グループは、持続的成長を遂げるために欠かせない重要な要素の一つとして「人財」を掲げています。まず採用面接でお話をしているのは、求める人物像です。当社はコーポレートコミュニケーションにおいて、お客様が抱えるお困りごとの解決を図っていくことに主眼を置いているビジネスですので、お客様が何を求めているのか常にアンテナを張り、変化を恐れず、お客様の課題解決のために自分に何が出来るのかを考えられる人財が最もフィットすると考えています。
例えば、新卒採用では、内定後のコミュニケーションを特に大事にしています。人事部との面談時間を十分に取り、仕事に対する思いや不安を引き出してパーソナリティとして蓄積し、入社後の配属先を検討します。注力しているのは、配属後に各人が一番活躍できる近未来の成長をイメージすることです。あまり長いスパンだと職場環境も変化するため、2~3年後に配属先の部門にフィットするようなイメージを持ちながら配属先を決めています。同じように、中途採用では自身が持つキャリアを活かすだけではなく環境に合わせて軌道修正できる柔軟性や、シニア採用では培われた知見の発信力など、それぞれのステージに期待するポイントがあります。いずれも、お客様の課題解決のために自主的に動ける人財かどうか、当社グループの仲間になることで採用者がより成長できるかどうかが重要だと考えています。

誰もが輝ける職場環境の構築を目指して

当社では2020年度から新人事制度を導入し、半期ごとに社員が自身の目標管理シートと行動評価シートを運用することで透明性のある評価の実現を目指しています。この制度を導入した一番の目的は、コミュニケーションの場をつくることです。例えば抱えている悩みや不安を上司に打ち明けることで、個人の悩みが組織の課題に変わり、様々な解決策を考えていくことができます。そうした個人の悩みを組織の課題として考えていく体制を整えていくことを目指しています。
また、テレワーク・時差出勤の活用など、多様な働き方も進んできています。社長自らの発声によりダイバーシティ推進プロジェクトを発足してから10年以上が経ちました。この活動のひとつとして、コロナ禍以前よりテレワークに関して様々な試みをしていたこともあり、非常時にもスムーズに体制を整えることができました。個人的な考え方ですが、私はダイバーシティとは突き詰めると「お互い様の精神」なのではないかと思います。育児中の方もいれば、育児はしていなくても家のことが大変な方、介護と仕事を両立しなければいけない方もいます。「お互い様」の精神をもって、それぞれが困難な状況に陥った時に助けて合っていくという精神がダイバーシティの本質だろうという思いがあります。その連鎖がサステナビリティなものに繋がっていくと感じています。
従業員エンゲージメントについても取り組み始めています。例えば新卒・中途入社の社員に関しては採用・配属したあとも定期的に対話の機会を作っています。業務や部署の風通しに関してヒアリングを行い、現場にフィードバックをすることで、定着率を図り、エンゲージメントの向上に努めています。
また、ダイバーシティ推進プロジェクトでは昨年度からテーマを設けて従業員が対話を深めていくTAKARA CAFÉという機会を設けています。今後はこうしたダイバーシティ推進プロジェクトの活動と連携しながら、より幅広く従業員の声を聞く機会を設けていく必要があると考えています。

今後の課題

人的資本について、企業への開示要請が強くなっています。それに応えていくためには、表面的な開示ではなく、なぜ人的資本を開示・可視化しなければならないのか、その本質を満たすような開示でなければならないと考えています。男女の賃金格差ひとつを取っても、当社は等級・役職を横軸に年収のレンジを置いているので、同じ役職であれば男女の格差がつくことはありません。ただ女性の役職者が人数的にはまだ少ないという面があるので、アベレージを出すと格差は出てしまいます。この賃金格差を開示する本質は賃金という表面的な問題だけではなく、女性の役職者が少ない、という現状の課題を理解し対処することだと認識しています。そこでこの本質を満たすために必要になるのは女性が活躍できるゾーン・昇格できる道を作っていくための取り組みです。単純に求められている数値を開示するだけではなく、人財戦略に結び付く取り組み・開示を目指しています。
また、人的資本開示については、社員のスキルの見える化が求められていますが、前述の目標管理シート・行動評価シートのさらなる活用が解決の糸口になると考えています。ディスクロージャーの変遷に合わせて今後も当社のサービスは変化が続くことが予想されるため、社員が持つスキル・キャリアを体系化し、新たなミッションが立ち上がった際に迅速に人財配置をしていくことが必要になります。
また、各企業のマインドだけでなく、「グループマインドの醸成」が、グループが存続する上での常態的な課題であると考えています。様々な営業目的、歴史、社風、等々異なる各社が、グループとしての方向性を認識し共に行動していくためには、グループ間のコミュニケーションを活発にし、グループの指針や課題を共有していく体制が必要です。その上で、個々に課題解決を図り、各社員が「グループ目線」を業務遂行の指標として持ち、グループ各社のシナジーを発揮することで、グループの推進力が増加することに繋がります。
企業の情報開示が大きく変わろうとしている今、働き方も個人の価値観も変化しています。そして、当社グループも今、変わろうとしている時だと認識しています。当社グループで働く一人ひとりが仕事でやりがいを感じ、充実した人生を送れるようにするためにも、様々な側面で環境整備を進めながら、当社グループの組織力を引き続き強化していきたいと考えています。

従業員数・採用者数・有資格者数グラフ