地球環境との共存共栄

世界的に環境問題が大きな社会的課題として掲げられるなかで、当社グループが持続的な成長を遂げるためには、限りある資源を有効に使っていかなければなりません。
地球環境に配慮するだけではなく、環境配慮製品をお客様とともに活用していくことで、環境へのポジティブインパクトが大きくなるような活動を推進していきます。

主な取り組み

  • CO2削減
  • 環境に配慮した備品・材料の購入
  • 環境に配慮した製品の提供
  • ゼロエミッションの達成推進
  • 廃棄物排出量削減
  • コピー用紙使用量削減
  • 汚染物質・化学物質の適正な管理・削減
  • 省エネ推進
  • 電力使用量削減

重要テーマ

  • 環境問題に取り組む企業への支援
  • 限りある資源の有効活用
  • 気候変動問題への対応

環境経営の推進

7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 15 陸の豊かさも守ろう

当社グループでは、ISO14001が規定する環境マネジメントシステムを2004年から運用しており、環境マネジメントシステムにおける活動についてはCSR推進事務局において目標と実績の記録・管理を行っています。環境マネジメントシステムにおいては、材料の使用や基材・消耗品の使用、エネルギーの使用などの環境に直接的に影響を与えうる側面と、製品の運送や外注委託など、環境に間接的に影響を与えうる側面の両側面を勘案しています。

環境管理規定における直接影響と間接影響の区分

また、環境目標は掲げるだけではなく、各部門の業務において活動可能な目標を設定し、社員一人ひとりが環境意識を向上させながら取り組むことが重要だと考えており、それを実践しています。例えば、「環境チェックシート」を用いて定期的な環境チェックを実施しており、空調設定温度の管理や不在時の消灯の徹底、不要コピーの削減徹底などの項目を設けています。各部門の業務内容に応じた地道な取り組みを継続させることで、すべての社員に対して環境に対する意識づけを行っています。
2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」においても、世界的な気候変動の影響とその対策については大きな社会課題とされています。当社グループでは、環境に関連する貢献すべき目標として「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と「陸の豊かさも守ろう」を選定し、環境負荷低減への取り組みを推進していきます。特に当社グループの中でも環境への負荷が大きい浮間工場においては、「SDGs活動」を実施しており、電力使用量削減のほか、リサイクル率の向上に取り組んでいます。

浮間工場 リサイクル率

顧客への環境配慮型製品の提案

FSC® 責任ある森林管理のマーク

お客様とともに環境へのポジティブなインパクトを創出するため、FSC®認証紙の使用を積極的に提案しています。宝印刷は、2005年5月にFSC®森林認証制度の「FSC COC認証」を取得しました。認証製品は、違法に伐採された木材や伝統的権利または市民権を侵害して伐採された木材などを使用しないよう、最大限の努力が払われています。
環境配慮型製品を提供することは印刷業界でも求められていますが、当社グループでは、日本印刷産業連合会が認定するグリーンプリンティング向上として、こうした環境配慮型製品を印刷工程において使用することで、お客様とともに環境負荷低減に取り組んでいます。この取り組みは、社会の環境意識の高まりとともに成果を見せており、年々FSC®認証紙の使用件数は増加しています。今後も顧客への環境配慮型印刷の提案を強化することで、当社グループの付加価値を高めていきます。

FSC®認証紙使用製品件数グラフ
上記は宝印刷(株)単体ベースの数値です。

環境に配慮した印刷工程を実現

GREEN PRINTING JFPI P-A10007

当社グループのなかで、最も環境負荷が高い印刷工場である宝印刷浮間工場においては、環境への取り組みを徹底しており、ISO14001の認証取得に加え、一般社団法人日本印刷産業連合会が認定するグリーンプリンティング認定工場となっています。
主な取り組みとしては、オフセット印刷機や空調機における使用電力の測定と調整、休憩時間や不使用時の屋内消灯などで削減につなげています。廃棄物削減については、刷版廃液を8分の1まで削減する装置の導入や細やかな分別により97.6%以上のリサイクル率を達成、さらなるゼロエミッション化を推進しています。また、有機溶剤は負荷ランクの最も低い第3種有機溶剤に使用を限定しており、VOC警報器の設置や局所排気装置の増設も実施しています。使用量の増加する繁忙期には外部機関による作業環境測定を行い実態の把握に努めるなど、化学物質や工場環境の適正な管理を進めています。印刷用紙や材料の搬入、製品の出庫における周辺道路の利用に関しては、外部の倉庫を利用した時間差納入を実施し、特に繁忙期には車両オペレーションのスムーズ化による待機時間の短縮、省エネ化につながる取り組みを始めています。
社員への環境教育については、毎期設定する環境目標を朝礼時に周知するとともに、有機溶剤の取り扱いなどはその都度ワンポイントレッスンを実施し、作業者の理解を深めています。
環境問題に対する社会的な要求の高まりによって、印刷産業でも環境配慮型の製品づくりが求められています。当社グループでは、環境に配慮した製品づくりに取り組んでおり、こうした環境に配慮した印刷環境を整えることで、顧客に環境配慮型の印刷工程を提供することが可能になっています。

浮間工場における取り組み

マルチ技能化により人財の底上げを図る

浮間工場で働く社員はおよそ70名。交代制で24時間稼働の印刷・製本ラインを支えています。当社のお客様は3月決算会社が多く、受注が集中する繁忙期には各専門分野に特化した外部の契約印刷会社とも連携しています。
印刷工程においては、お客様の品質に関する要望に応えるだけでなく、コスト削減や社会課題でもある環境への対応も含め、一人ひとりに期待される役割も大きくなってきています。個人のスキルアップの取り組みとしては、積極的な部署異動や他部署応援を通じたマルチ技能化を実施しています。オフセット印刷、製本、デジタル印刷を中心に工程を細かく分け、各自に目標を設定したうえで対応可能な工程を増やしていき、その結果が評価にも反映される仕組みを運用しています。浮間工場の生産ラインには、カメラやセンサーなど、印刷事故防止のため最新の検査装置が装備されていますが、それらを正しく作動させ、使いこなすのはやはり人財。品質重視の観点だけでなく、生産性を上げるためにも工場全体で人財教育に力を入れています。

気候変動に対する基本的な考え方

当社グループでは、環境に配慮した事業活動を推進することが当然であると考えているため、これまでCO2削減に対する取り組みや環境配慮型の印刷方法の推進など、様々な取り組みを推進してきました。一方で、気候変動に関する社会課題が当社グループの事業に与える影響がますます大きくなっていると認識をしています。この課題に向き合うことは、当社グループと社会が持続可能であり続けるために、必要不可欠なことであると考えています。
こうした背景を踏まえ、当社グループは、今後TCFDの提言に沿った情報開示に取り組むべきと考え、サステナビリティ実行委員会の直下にTCFD分科会を発足し、TCFDに沿った情報開示に取り組む体制を構築しました。TCFDは環境に配慮した企業等に対し、気候変動問題が企業の財務資本に及ぼすリスク及び機会の側面について開示することを推奨しています。当社グループではこうした社会のニーズに沿った情報開示に向き合い、TCFDへの賛同を視野にいれつつ、気候変動問題への対応を強化していきたいと考えています。

ガバナンス及びリスク管理

取締役会において、サステナビリティに対するマネジメント体制、重要な方針について検討し2022年1月にサステナビリティ委員会を設置しました。サステナビリティ委員会の下位機関としてサステナビリティ実行委員会を設置し、2022年10月には実行委員会のメンバーで「TCFD分科会」を発足させました。現在はこの分科会において、気候変動リスクの特定やシナリオ分析等を念頭に、現状を把握・精査するところから実直に取り組み始めています。なお、サステナビリティ委員会は2ヶ月に1度、サステナビリティ実行委員会はそれと同様もしくはそれ以上の頻度で活動しており、気候変動を含めたサステナビリティに関する議論を進めています。
今後は、サステナビリティ委員会と取締役会との連携を強化し、気候変動領域におけるリスクおよび機会について議論を重ね、グループ全体に活動を広げていきます。

リスク管理

取締役会がリスク管理体制を構築する責任と権限を有し、これに従いリスク管理に係る危機管理規程を制定・施行しています。また、リスク管理部門として総務部がリスク管理活動を統括し、規程の整備と検証・見直しを図っています。気候関連リスクに関しては、今後サステナビリティ委員会を中心にリスクを評価・審議し、取締役会に報告していきます。

水使用量・CO2排出量(電力使用量限定)・紙ゴミのリサイクル量グラフ
上記は宝印刷(株)単体ベースの数値です。